スランプ・スランプ回避法
(2001/10/27〜30)



 今は絶好調なこの私だが、ヘボごるふァーの宿命として周期的なスランプは避けられない。人より記憶力の悪い筋肉であるせいか、練習場でもコースでも未だに初心者のようなトップやチョロが出る。さすがに空振りは記憶にないが(この1年に限っての話である、という但し書きが必要だが)。

 スランプの周期は、二日ないし三日間隔で、不思議なことに練習場へ行く日、コースに出る日に限ってスランプが一番ひどい状態になる。クラブを握らない日は自分で言うのも何だが絶好調である。その時は、おそらくHDCP+18ぐらいの腕前であろう。宮里兄弟と戦っても勝てそうな気がする(ごるふ以外で、という条件でなら)。それどころか、タイガーと戦っても勝てる、という確信がある(日本語での議論、サンマのきれいな食べ方等なら)。もっとはっきり言えば、ジャックニクラウスもベンホーガンも私の敵ではない(相手がクラブを持たないでコースを回るという条件付きなら)。

 ともあれ、スランプと上手に付き合うためにはスランプを楽しむことである。幸いにして、どんなにひどいスランプでもドライバー、アイアン、ショートゲームのどれか一つはまだましなことが多い。従って、ドライバーとアイアンの調子が悪い時はパターでラウンドする、ショートゲームの調子が悪い時はドライバーでアプローチやパットをする、という方法で実際のラウンドは回避できる。

 ただ、その場合はスコアが良いわけはなく、家へ帰ってひどい自己嫌悪と胃痛と頭痛と神経性大腸炎に苦しむ事になるが、ミスショットをするストレスに比べればそんなことは大したことではないのである。


 次に、普段練習でスランプに陥った場合、どういう対処の方法があるのだろうか。まじめ度60%の範囲で考えてみよう。

1、基本に返る

  スランプの原因は、ちょっとした事がきっかけになっている場合が多い。例えば、グリップが少しづつ変化しているとか、ボールの位置がずれていたとか、ボールの位置が知らぬ間に体の後側にずれていた(下の図)とか、クラブが知らぬ間に妻の嫌がらせによって曲げられていたとか、クラブが知らぬ間に妻の嫌がらせによって左利き用に代えられていたとか、いずれにせよほんの些細なことが原因であるケースが意外と多い気がする。

 従って、グリップ、アドレス、ボールの位置、目標に対して平行に立てているか等、「基本のき」に戻って一つづつチェックしていけば、原因を突き止められることも多い。

2、偽の悟り

 「これで悟った!」とか「目から鱗が落ちた!」と思ったコツは大体において大変な勘違いであることが多い。そのおかしなコツが原因でどんどんスウィングが悪くなってしまう、というのはよくある事である(ちなみに編者は得意技である)。また逆に、その悟りが本物であったにもかかわらず、そういうコツに限ってすぐに忘れてしまう、というケースももちろん考えられる(ちなみに編者はこれも良くやる)。

 こういう事の無いように、編者は「悟りノート」をごるふバッグに忍ばせておき、偽物であろうが本物であろうが、とにかく練習中にヒントをつかんだ場合は日付と共にそれを書き記すようにしている(いや、表紙に「悟りノート」と書いているわけじゃあないですよ)。たまに見返すと、自分の字が如何に汚いかが良くわかる、のではなく、どういう点に気をつけてスウィングをしてきたかを時系列に沿って見直すことができる。それを見て、一つ一つチェックしていけば良い時の感触を思い出すことが多い。特に私のように記憶力が普通よりだいぶ劣る人間には、メモというのは外付けHDD のようなありがたさがある。

 あと、「目から鱗が落ちた!」と思っていたのが実はコンタクトレンズだった、という可能性もある。この場合はボールがかすんで見えたり、3つに見えたりするのですぐわかるが、そうなった時の方がナイスショットが出たりするのはどうしてかわからない。今後の研究を待ちたいところである。





3、体の異常を疑う

 人間、中年になると体のあちこちが壊れてくる。ここで若い人にはっきり言っておこう。若い頃は少々無茶をしても体が痛んでも数日で治ってしまうものだ。人間の自然治癒力は確かにすばらしい。しかし、自然治癒力は35歳を過ぎると失われていくのだ(私の場合)。これは「老化」以外の何者でもないが、こんなに早い時期に訪れるのは、子供を生み育てた人間は淘汰されるべきという純粋に生物学的な根拠に基づいた、帰納法的思考に裏付けられた、正しい推論による、私の邪推である(私が自堕落な生活を送っているから、という事が一番大きな原因になっている可能性も実は高い)。

 痛めた手首が痛いままずっと治らない、1年中腰が痛い、首を寝違えて1週間以上首が回らない、足首が痛くて捻挫と思っていたら通風だった、頭痛が止まらないと思ったら後ろから妻がドライバーで殴っていた、腕がちぎれたあと生えてこない、生えてきたが手ではなく足だった(それも右手なのに左足だった)、等等、「生物の傷は自然に治る」という小学校で習った基礎的な知識に実は「中年になるまでは」という但し書きが付いている事を中年になると思い知らされるのだ。

 ただ、生物にはそれを補うための働きも備えている。「慣れる」という体の働きである。これにより、痛み、苦しみの度合いをある程度軽減することができる。しかし、この「慣れ」というのが実は曲者で、無意識に痛い部分や不具合のある部分をかばったり、痛みを感じる動きを避けたり、痛いのを無意識に忘れてしまったりしてしまうのだ。ほーら、思い当たる事があるでしょ?で、その結果、とんでもないスウィングが完成してしまう。

 もし、体のどこかに具合の悪い部分のある人は、それのせいでスランプになっていないかどうか一度チェックしてみればどうだろうか。冷静に体の不具合を観察し、関節の堅さを再チェックし、治すべき所は治す。思い切って、2週間ほど休養(クラブを握らない)をとるのも一つの手だと思う。練習しないと気が狂うほどの中毒の人(ハイ、私です)は、良い機会だしパッティングの練習を家ですれば良い。その後、スウィングのチェックを受ける。

 スウィングのチェックはその辺の教え魔オヤジに任せる、なんてケチ臭い事をせず(そんな事をしたら余計に悪くなる事請け合いである)、評判の良いレッスンプロに教えてもらうのが一番である。ただし、具合が極端に悪い場合(顔色が緑色である、骨折している、寝たきりである、あと1週間の命と医者に言われた、首が取れかけている等)はこんなくだらない文章を読んでいないですぐ病院へ行ったほうが良いのは言うまでもない。

4、とにかく打ち続ける

 原因がある程度はっきりしていて、体のどこも悪くない場合、そして練習する時間とが十分にあるならば、とにかく球を打ち続けるというのが正攻法であろう。ただし、ある程度自分の状態を把握できるほどの腕を持っていないと、悪い状態での癖が固定してしまい、元に戻すためにまるで苦労して一番地下までもぐったダンジョンの最後のドアの前で「さいごのかぎ」を倉庫に忘れてきた(しかもリレミトを唱えるMPも残っていない)というような、気の遠くなる脱力感と情けなさを経験する羽目に陥るので注意が必要である。

5、一番得意なクラブだけで練習する。

 初心者を除き、誰でも一つぐらいは比較的得意なクラブがあると思う。ちなみに、編者の場合、8アイアン、ロブウエッジ、ナイトクラブ、おにゃんこクラブ(懐かしい!)、放課後クラブ、イソジンスクラブ(何だそりゃ?)などを得意としている。

 そういうクラブで、易しく当たるようにティーアップしてとにかく打ち続ける。そのうち体が良い時の感触を思い出してくれる(と思うが、体に聞いてみないとはっきりとは断言できない)。うまく行かないなら、飛距離や方向を度外視し、ハーフショットでとにかく良い感触でクラブヘッドにボールを当てる事だけに集中する。つまり、飛ばそうとか真っ直ぐ打とうとかの欲を捨て、スウィングをシンプルにしていき、矯正していく。

 スウィングの究極の目的はボールをクラブのしかるべき場所に正確に当てる、という事であって、飛距離や方向はその結果に過ぎないことをもう一度頭に叩き込むのだ。

 うまく当たりだしたら、徐々にスウィングを大きくしていき、他のクラブを練習していく。この方法で私はスランプから何度も脱出した。しつこいようだが、一番大事なのは「結果を追い求めない」事である。つい最近まで上手く打てていたのだ。感触さえ戻れば、また必ず良い玉が出るはずである。

 えっ、得意クラブはパターだけ?・・・・・ちゃんとしたレッスンプロに教えてもらいなさい。

6、左打ち(左打ちの人は右打ち)に転向する

 こうすれば超初心者である。当たらなくて当然。堂々とミスショットしよう。リセットしてゼロからのスタートは、生まれたての朝のようにすがすがしい。今度こそ悪い癖が付かないよう、がんばって欲しい。

 以上、自己責任の上でトライしてみて欲しい。藁をもすがる思いの人には、(中身は無くても)6つも解決法があればどれか一つは当てはまるだろう(数打ちゃあ当たる的発想であることは否めないが)。ただし、例によってそれでスウィングがおかしくなっても編者は一切責任を負わない(ボールの位置が知らぬ間に体の後側にずれていた人を除いて)。


編者注:無茶苦茶である。言いたい放題である。こんな事を信じてはいけない。スランプの時は、
先生に見てもらうのが一番だ(ボールの位置が知らぬ間に体の後側にずれていた人を除いて)。