Kプロ・ボール投げ返し事件
(2002/9/14〜15)


 
 一昨日のラウンドの疲れがまだ残っているのか、まだまだ体がだるい。まあ、来週のラウンドまでに治ればよしとしよう。

 さて、9/10の日記にも少し書いたが、先週のマッチプレー選手権で起こった事が、ごるふ関係のいろいろなBBSで予想以上の反響と話題を呼んでいる。中にはあからさまな誹謗や中傷も含まれているが、何れにせよこういう「事件」について全国のごるふファン同士が議論できると言うのは大変良いことだと思う。インターネット普及による数少ない利点の1つであろう。

 話をおさらいしておこう。日本プロゴルフマッチプレー選手権の3位決定戦、過去賞金王を取った事もある、テンガロンハットで有名なKプロが、オールスクウェアで迎えた18番(相手は宮瀬プロ)。彼の打った第2打は、グリーンをわずかにこぼれ奥の林へ。すると、その林の中で観戦していた女性が、そのボールにダッシュし、手を伸ばして掴みそうになる。ここで映像はなぜか慌てて切り替えられ第2打地点へ戻ったので詳細はわからず。しかし、近くのギャラリーから「だめだ!」等の叫び声は確かに聞こえていた。

 Kプロがグリーン奥へ着くと、林の中に入ったはずの彼の玉は、何故か林の手前、グリーンを少しこぼれた場所にある。あきらかに打ち込んだ場所とは違う、Kプロにとって有利なグリーンの近くにあるように見えた。

 もし、私がテレビで見た一部始終が真実なら、この事件に対して、ルール上はどうなるか?ややこしいが、ルールブックを見て考えてみた(がはっきり言って全く自信が無い。間違いがあれば是非教えていただきたい。なお、この女性がKプロの「追っかけ」をするほどの大ファンであるという話もあるようだが、真偽は確かめようがないし、ここでは話がややこしくなるので考えない)。

 その女性はギャラリーであるから局外者である。つまり、この場合はボールが局外者によって動かされたケースであると考える。その場合、下の3つの状況が考えられる。

 ケース1
 彼女が、まだ動いている球を見にいき、偶然足等で球を蹴ってしまい、ボールが動いた場合、ラブオブザグリーンである。つまり、規則19-1により、あるがままでプレーということになる。よって、問題なし。

 (ラブオブザグリーン・・・動いている球が局外者により偶然に方向を変えられたり止められた場合をいう)

 ケース2
 次に、彼女が動いている球を故意に拾い上げて投げた場合、規則19-1の注釈に従い、宮瀬プロに不利にならないよう、ボールがもとあったと思われる場所にドロップする等が妥当であろう。この違反の罰は、マッチプレーではそのホールの負けになる。

 (規則19-1の注釈・・・「局外者が故意にプレーヤーの球の方向を変えたり球を止めたものと審判員か委員会が判定した場合、そのプレーヤーについては規則1-4を適用する」。規則1-4は、「適用できる規則が無いときは、公正の理念に従って裁定しなければならない」というもの)

 ケース3
 さらに、球がすでに静止していた場合は、規則18-1に基づきリプレースの必要がある。即ち、もとあったと思われる場所に置きなおす、と言う事である。この違反の罰も、マッチプレーではそのホールの負けになる。

 (規則18-1・・・止まっている球が局外者によって動かされてもプレーヤーに罰はなく、その球はプレーヤーが次のストロークをする前にリプレースしなければならない。)

 さて、今回の場合、どのケースに当てはまるのか?審判員、Kプロはどうすべきだったのか?


 さて、昨日が「事件編」とすれば今日は「解決編」である。ちなみに、明日は「総集編」を、明後日は「特別扁」を、そして先明後日は「デジタルリマスター編」を書き、ついでに先先明後日は「初回限定版・マウスパッド付」、おまけにその次の日は「初恋地獄編」、さらに次の日は「珍プレー好プレー上半期傑作編」、で最後に「予告編」を書くつもりだ(嘘)。

 真面目な話に戻る。

 状況的には、今回の状況は昨日のケース2ないしケース3に該当するだろう。つまり、局外者が故意にボールを動かした、と言う事である。周囲には多くの目撃者もいた。最終ホールという事もあり、競技委員や大会関係者も一人ではなかったはずだ。従って、協議委員がKプロと宮瀬プロに事情を説明し、もとあったと思われる場所へリプレースないしドロップさせるべきであっただろう。では、どうしてそうしなかったのか。

 私は、大会関係者、競技委員がするべき仕事をきっちりとしなかったのではないかと推測する。即ち、グリーンの横で起こったことを「無かった事」にして、そのままプレーを続行させたのではないか?と必然的に考えざるを得ない。何故か?

 Kプロが賞金王にもなった人気プロだからである。こういう書き方をすれば宮瀬プロに失礼なのは百も承知だが、大会運営側は、より有名なKプロに勝ってほしかったのではないのか?あるいは、あの日大出身の大物だし、あえて気を回したとも、ご機嫌を損ねるのが怖くてできなかったと邪推する事もできる。

 何故そういう風に推測ができるかというと、その時のテレビの中継録画の編集の仕方があまりに不自然であったからである。Kプロの第2打がグリーン奥の林へ転がっていったシーンは、クレーン等の高い位置から映されたものであった。そして、ボールが転がるさまがはっきり映し出されていた。普通、こういうシーンではカメラはアップでボールをできるだけ捕らえようとするはずだ。しかし、くだんの女性がボールにダッシュしてそれに手を伸ばした時、不自然にそのシーンは切り替えられた。つまり、局側が意図的に女性がボールを投げるシーンをカットしてあったのだ。局の意図はこれ即ち主催者の意図である。

 その後のKプロのアプローチでも、その事に関する話もなければドロップするシーンも映されなかった。前述したように、もし競技委員がKプロにその件を説明せず、そのままプレーしたのであれば全く言語道断である。JPGA及び大会側が特定の選手に肩入れしていると言う事だからだ。また、こういう輩の常套句、「知らなかった」「気づかなかった」で済む話ではない。日本中に放送されているのだ。

 もし、きちんと説明がなされ、裁定が下され、ドロップないしリプレースしていたにも関わらず、編集でカットして放映されなかったとしても、これはこれで非常に陰険に感じる。何故隠す必要があるのか、と言う事だ。説明責任を放棄し、面倒が起こらないようわざとカットした、というのであればこれは視聴者をなめているといって良いだろう。もちろんここでも局の意図=主催者の意図である。
 
 誤解しないよう云っておくが、今回のケースの場合、Kプロには何の罪もないと私は思う。問題は、もっと他にあるのだ。

 ここに見られるのは、JPGA及び大会関係者の腐った体質、視聴者を軽視するマスコミの傲慢さ、強い者に迎合したりへつらったりする日本人の事なかれ主義である。

 少し前までの、某有名プロへのアンフェアな報道と待遇(ウォーターハザードにソールしてもお咎めなし。ボールの後ろの芝をソールで押し、ライの改善をしてもお咎めなし。グレッグ・ノーマンが憤慨したのは有名な話である)や、日本ツアーで活躍する日本人選手以外への偏見と差別(外国人選手が優勝パットを決める瞬間「外せ!」と叫ぶ、またそのギャラリーを野放しにする日本人たち。某外国人選手の、パットの瞬間ボールが動いたのを鬼の首を取ったように何度も繰り返し報道するマスコミ)も根は同じである。

 この件に関し、JPGAのホームページにはもちろん何の説明も無い。説明する気も、弁明する気も無いのだろう。だって、彼らは「何も無かった。誰も何も見なかった」と思っているんだから。まるで今は無き某国の諜報局である。

 JPGAはじめ責任者は、ボランティアの善意で円滑に運営され、毎年各種団体に億単位の寄付をしているUSPGAの爪の垢を煎じて、腹がはち切れるまで飲み続けるべきだろう。そうすれば、腹の中の真っ黒などろどろしたものが少しは洗い流されるにちがいない。

 (もし、私に重大な事実誤認があるとはっきり証明されれば、昨日と今日の日記内容は訂正するが、そう言う事はまず考えられない。私=一般の視聴者にとっては編集された放映こそが「真実の鏡」に他ならないからだ。)


編者注:この件に関しては、まだすっきりしない。ボールは触られていなかった、打ち込んだ位置から
Kプロはそのままプレーした、という証言もある。しかし、もしそうだとしてもすっきりしない。
つまり、この国の政治家と同じく、マスコミが「隠そうとした」事自体が気持ち悪いのだ。